人間に必要な本能「咀嚼」を入れ歯が取り戻してくれる

人間に必要な本能「咀嚼」を入れ歯が取り戻してくれる

よく噛んで食べることは、健康を守る人間の本能

 十分によく噛んで食べることは、健康を保つ上で非常に大切です。
 ものを噛んで食べるのは人間が生きていくことの基本的な活動であり、自然の本能のひとつであるといえます。
 ものを食べているとき、口のどちら側で噛んでいるかということなどをいちいち意識したりはしませんよね。
 私たちは、噛むという行為を無意識のうちに行っているのです。
 何か食べ物を口の中に入れると、自動的に、それを噛んで食べるという「咀嚼(そしゃく)」のメカニズムが作動しているからです。
 口のどちら側で噛んでいるかということを意識するのは、何か異物が入り込んでしまったときとか、虫歯があってそれを避けようとしているときとか、何かしら口の中に違和感があるときです。
 健康であれば、そのようなことは気にもとめないはずです。
 そのように、健康と自然にものを噛むということは、大きく関係しています。

 きちんと咀嚼を行えば、口の中は自然にきれいになります。
 唾液が分泌され、そこに含まれる消化酵素や唾液腺ホルモンの働きをよくし、歯を石灰化したり、白血球数を増加させたり、歯肉炎や三叉神経痛も抑えたりする効果があるといわれています。
 また、よく噛むことによって、あごが自然に疲れますから、食べ過ぎを予防する効果もあります。
 逆に、よく噛まずに早食いをしてしまうと、肥満にもつながります。
 これは、よく噛むことによって、脳が満腹のサインを出すタイミングと、胃が食べ物を消化吸収するうまくタイミングがぴったり合うようにできているためです。
 よく噛めば、消化がうまくいき、胃の負担も軽くなり、栄養素の吸収も自然に行われます。
 よく噛まなかった場合は、消化がうまくいかずにムダに排泄されてしまうことになります。
 ものを噛みしめるということは、精神面にも影響を及ぼします。
 人は、なにかにチャレンジしたり、困難に立ち向かおうとするとき、自然と奥歯を噛みしめているものです。
 多くのスポーツ選手は、運動能力を最大限に発揮できるように、また、強い意志や決断する力、辛抱強さを保つために、噛み合わせを調整しています。
 このように、噛むことには、精神面でも強さを維持する働きがあるのです。
 噛むという動作にかかわるのは、あごの筋肉だけではありません。
 あごの骨や頭部全体の発育には欠かせない動作です。噛むことの刺激が脳や神経にも伝わり、脳の神経発達にも影響します。
 このように、人間は、よい噛み合わせで、よく噛む習慣を身に着けることで、無意識に身体のバランスを保っているのです。
 よく噛まないでいると、あごの筋肉が衰え、うまく消化をできなくて身体は衰弱し、精神ももろくなり、脳の働きも衰えて、老化が進んでしまうでしょう。

あごが小さくなった日本人の深刻な問題

 いま、よく噛めない子どもや若者が増えているということがよく指摘されています。
 あごが小さくなり、それによって咀嚼機能が発達しないまま成長してしまっているケースが増えているのです。
 これは大変深刻な問題です。
 人間の自然な本能であるはずの「よく噛む」ということが、うまくできないということだからです。
 彼らは、口の中に入れた食べ物をあまり噛まずに飲み込んでしまいます。
 当人は普通に噛んでいると思い込んでいる場合もありますが、噛み合わせがよくないために、十分に噛めていないことも多いのです。
 噛むことが苦手だと、あごの骨をはじめ、様々な成長・発育に影響を及ぼします。
 また、噛むことを面倒だと感じるようになると、ますます咀嚼の機能が退化してしまうことになります。
 あごが小さくなると、その分、歯が密集して生えることになりますので、歯も小さくなり、歯並びも悪くなります。
 このため、ますます噛み合わせが悪化してしまうのです。
 
 日本人のあごがなぜ変化したのか、その原因には様々なものがあると思いますが、少なくとも、食生活の変化が及ぼした影響があることは無視できないでしょう。
 ファストフードや、パンやスィーツといった柔らかい食品が増え、ジュースやコーラなどの飲料も多様化したことによって、現代人の食事の平均時間は、江戸時代などに比べるとずっと短くなっているといわれます。

 ここで、昨日からあなたが食べたものを、ちょっと思い出してみてください。
 カレーライス、ラーメン、ハンバーグ、豆腐、煮物、アイスクリーム……
 ほとんど噛まないでも食べられるものばかりを口にしていませんか。
 現代の日本人の食生活は、ほとんど歯を必要としないものになりつつあるのです。
 それは、その分、噛む回数が減り、「丸のみ」になる傾向にあるということです。

 こうしたことは、噛むという本能が衰えてしまう、とても怖い事態だといえないでしょうか。
 咀嚼機能が退化することは、身体の能力が大きく低下してしまうことにつながるのです。

人間に必要な「咀嚼」について考えたら「生きがい」にたどり着いた」という記事では、咀嚼のメカニズム、咀嚼をカバーできる他の方法はないこと、咀嚼が人間の生きがいにまで影響していることを紹介しました。

入れ歯は、大切な咀嚼の機能を回復してくれる

 さて、入れ歯というと、一般的には高齢者のイメージが強いかもしれません。
 しかし、不幸な事故に遭ってしまった場合や、虫歯・歯周病等の病気によって大切な歯を失ってしまうことは、高齢者にかぎりません。
 残念ながら、人間の歯は、抜けてしまうと二度と生えてきません。
「数本程度なら、歯がなくても生活できるのでは?」
 そう思われるかもしれません。
 しかし、歯が抜けてしまうと、噛む力はその分だけ、確実に弱くなります。それに、歯はお互いに支え合っていますので、抜けてしまったことは他の歯にも何かしらの影響を及ぼします。
 咀嚼という人間の本能がうまく働かないと、上に書いたように、様々な不都合が起こります。

 では、歯を失ってしまったら、どうすればいいのでしょうか。
 失った歯を補う方法として、ブリッジや入れ歯、インプラントがあり、それぞれのメリットやデメリットについて、「【徹底比較】ブリッジvs.インプラントvs.入れ歯」という記事でご説明しました。
(ブリッジや入れ歯の歴史は古く、紀元前の古代ギリシアにはすでに登場していたそうです。詳しくは「入れ歯と歯科の世界史<古代編>」という記事をご覧ください。)

 中でも、入れ歯は、老齢前に制作すると、あごの骨が十分に残っていますので、よく噛める非常に安定性の高いものを作ることができます。
 ブリッジやインプラントの場合は、人によっては治療できないこともありますが、入れ歯は、どんな人でも、お口の中のどの部分であっても適応できます。
 こまめに清掃することもできるので、口の中を清潔に保ちやすいというのもメリットです。
 見た目的にも理想的な咬合平面を作ることができます。
 入れ歯をうまく使いこなせば、何でも不都合なく食べることができ、理想的な口元に変身できるのです。
 一生ものとして使用でき、歯の治療をする必要もなくなります。
 今までもっていた入れ歯のイメージを忘れて、人間が生きていく上で大切な咀嚼の本能を取り戻しませんか。

 

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