咬み合わせで決まる入れ歯の成功・失敗

 あなたはご自分の入れ歯の咬み心地に満足しているでしょうか。
 中には、本当は違和感や不満があるのに、「入れ歯なんだから仕方がない」「入れ歯なんてこんなものだ」と諦めてしまい、不便なまま使い続けている方もいらっしゃるかもしれませんね。
 本当は咬み合わせに問題があるのに、それを自覚していない方も意外と多いそうです。

 咬み合わせというものは、全身の健康という点からも、非常に大切なことです。咬み合わせの悪さによって、頭痛、首や肩のコリ、不眠などに悩まされることがあり、きちんと自分に合った入れ歯を使用することで、それらが改善したケースも多くあるのです。

 あなたの入れ歯選びが成功しているかどうかを決めるのは、まさに咬み合わせだと言っても過言ではありません。
 今回は、咬み合わせの問題と、問題が起こる原因について、チェックしてみましょう。

よい咬み合わせとは?

 そもそも、「良い咬み合わせ」とはどのような状態を言うのでしょうか?
 今まで咬み合わせということに注意していなかった人は、そんなことを思うかもしれません。
 正面から見ると歯が綺麗に並んでいるように見えていても、実は咬み合わせに問題があったという方は意外と多いのです。

咬み合わせのチェックポイント

  1. 上の奥歯と下の奥歯が均等に触れ合うか?

     上下の奥歯を咬み合わせたとき、どの歯も均等な力で触れ合っているでしょうか。どこかの歯だけ空間が開いていたり、反対に強く咬み合い過ぎたりしているなら、咬む力がアンバランスになってしまいます。

  2. 上の前歯は下の前歯に少しかぶさった状態で咬み合うか?

     歯を咬み合わせて正面から見たときには、上の前歯は下の前歯に少しかぶさっているのが正常な状態です。上の前歯と下の前歯が水平になったり、反対に上の前歯が下の前歯にかぶさり過ぎてほとんど見えなかったり、上下の位置関係が逆転して下の前歯が上の前歯にかぶさってしまっている場合、よい咬み合わせとは言えません。

  3. 自然な見た目になっているか?
     咬み合わせは機能性が重要なのはもちろんですが、見た目の問題というのも大きなポイントです。入れ歯のためにこれまでと口元の印象が変わり、顔とのバランスが取れていないように感じるなら、それもよい咬み合わせとは言えないでしょう。

咬み合わせが悪さからおこりやすい問題

 では、咬み合わせが悪いと、具体的にどのような問題が起こるのでしょうか?

  1. 食べ物が咬みづらい

    咬み合わせの第一の役割は、食べ物を咬み切ったりすりつぶしたりすることです。飲み込む前に十分に食べ物を咬むことで、消化に必要な酵素の分泌を促し、ある程度は唾液によって分解して胃腸を助けます。食べ物がよく咬めなくなってしまうと、消化吸収が悪くなるばかりではなく、顎や口まわりの筋力の低下や、脳を活性化するための刺激少なくなるなどのデメリットがあります。

  2. 頭痛や首肩のコリがおこりやすくなる

    咬み合わせが悪いままで放置していると、顎がずれ、そのずれが慢性的な筋肉の緊張の原因となり、ひどい頭痛や辛い首肩のコリがおこりやすくなります。

    また、人間の体は中心線を軸に全体が左右対称なので、咬み合わせがずれたことで全身のバランスが崩れ、背骨の歪み、腰痛などにつながっていく場合もあります。それらの痛みが、咬み合わせを調整したことで治ったというケースも実際にあるのです。

  3. 発音が悪くなる

    咬み合わせが悪くなってどこかにすき間ができてしまうと、音がもれて発音も悪くなるケースがあります。ところが、咬み合わせと発声との関係に気に留める方は意外と少なく、入れ歯の不具合のせいで話しづらくなっていると気づかないまま諦めてしまっている場合があります。

  4. 精神的に落ち込みやすくなる

    咬み合わせの悪さは、精神面にもいい影響を与えません。まず、食事を味わうことが難しくなり、咬み心地の悪さによって食事への関心が失われがちになります。食事は人間の生活には欠かせないもので、精神的な楽しみの1つでもあるため、その食事が妨げられることで気分が落ち込みやすくなってしまう方がいます。

    また、咬むことは脳の活性化にも大切だと言われていますが、咬み合わせの悪さで正常に咬む機会が失われると、精神の方にも影響があることが指摘されています。

  5. 顔の歪みの原因になる

    咬み合わせが悪いままで放置していると、偏った場所で咬むクセがつき、口まわりの筋肉が均等に使われなくなります。その状態を続ければ、口元や顎が歪んだり、フェイスライン全体が歪んだりしてしまう原因になることがあります。

入れ歯でよい咬み合わせを実現させるには?

 咬み合わせが悪くなることで起こる問題をご紹介しましたが、では、どのようにすればよい咬み合わせを実現できるのでしょうか?

 入れ歯で咬み合わせが悪いというのは、主に2つのケースがあります。

  1. 作った直後から咬み合わせが悪い
  2. 使っているうちに咬み合わせが悪くなってきた

 それぞれの原因について、順番に見てみましょう。咬み合わせも含めた入れ歯が上手く合わない原因については、「入れ歯が合わない12の原因」の記事にも詳しく書かれてありますので、よろしければそちらもご覧ください。

  1. 入れ歯を作った直後から咬み合わせが悪い場合

     入れ歯を作る際には、本来は咬み合わせのことを十分に考え、様々な検査や調整もして作ります。
     しかし、実際にでき上がってみると、咬み合わせに不満を感じるケースは多いようです。これは、以下のような原因が考えられます。

    • 型取りに失敗している

       入れ歯の型取りはとても重要な工程ですが、実はかなり難しい作業です。例えば、型取り中の患者さんの姿勢や口の動きによっても咬み合わせは変わってしまうので、歯科医師はそれにも合わせて型取りをしなければいけません。患者さんの方が協力することが必要なのです。この時点で何らかのズレがあると、仕上がったときの入れ歯の咬み合わせが悪くなってしまうことがあります。

    • 歯科技工側の問題

       入れ歯を実際に作るのは歯科技工士です。多くの歯科医院では、外部の歯科技工所へ制作を依頼しますが、歯科医師と歯科技工士のコミュニケーション不足や、歯科技工士の技術不足によっても、入れ歯の咬み合わせがずれてしまうケースがあります。

    • 最終調整が不完全

       どのように精密な入れ歯でも、やはり人工物ですので、最終的には調整が必要になります。ところが、患者さんの方が歯科医師に遠慮してしまったり、「入れ歯なんだから違和感は仕方がない」と思ってしまうことで、調整が不完全なままで通院を終わってしまう方もいます。

  2. 使っているうちに咬み合わせが悪くなってきた場合
    • 入れ歯が劣化してきた

       入れ歯は人工の道具ですから、ある程度劣化してしまうことは避けられません。使い続けているうちに素材が変形したり、すり減ったりすることもあります。その場合は歯科医院で相談し、調整をしてもらいましょう。

       もっとも、入れ歯の品質によって劣化の度合いには差があります。保険内の入れ歯は素材に制限があり、また金属製のバネを使っているので、どうしても歪みが生じやすくなってしまいます。

       何度も調整をしたり、作り替えたりするのが嫌な方には、劣化の少ないテレスコープ義歯がおすすめです。定期的なチェックや調整は必要ですが、同じ入れ歯を30年以上も使っている方もいて、咬み心地にも満足をされる方が多い入れ歯です。

    • 口の中や全身の状態が変化してきた

       入れ歯を使い続けるうちに咬み合わせが悪くなってしまう原因は、入れ歯の劣化以外にも、ご自分の身体の側の変化にあるのかもしれません。
       人間の身体は常に変化し、年齢とともに少しずつ組織の機能も低下してしまうものです。入れ歯そのものは人工物ですから、身体の微妙な変化に適応できず、咬み合わせが上手く合わなくなってしまうことがあるのです。

       このような場合にも、入れ歯の調整が必要です。また、お口の中を健康に保つための日頃のお手入れや、歯科医院での定期的なチェックも、よい咬み合わせを保つためには重要なポイントとなります。

まとめ ~入れ歯の成功・失敗は咬み合わせで決まる

 いかがでしょうか。
 入れ歯でよりよい咬み合わせの状態を実現させるには、

  • 入れ歯の品質
  • 入れ歯作りの精度
  • 歯科医師とのコミュニケーション
  • 日常のお手入れ
  • 定期的なチェックや調整を行うこと

などを行うことが大切ということがわかりました。
 咬み合わせは、全身の健康を左右するとても重要なことです。
 あなたの入れ歯は咬み合わせを左右する大切な道具です。咬み合わせに不安のある方は、一度、歯科医を訪れて入れ歯の状態をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

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