あなたの人生にとって入れ歯は高い買い物ではありません

「入れ歯が合わず、もの噛むと違和感や痛みがある」
「入れ歯の隙間から息が漏れて、話しづらい」
「口を大きく開くと、入れ歯がずれてしまう」
 そんな悩みをお持ちではありませんか?
 入れ歯で苦労されている方は、思いのほか多くいらっしゃいます。
 また、今は入れ歯をしていない人も、入れ歯にそんなイメージをもっているために、いざ入れ歯を入れなければならなくなったとき、人生の終わりが来たかのように絶望してしまったりするのです。
 つまり、非常に多くの方が、「入れ歯なんてそんなものだろう」と諦めてしまっているのです。
 たかが入れ歯と思うかもしれませんが、場合によっては命に関わるような病気の原因になることもあります。その一点をとっても、じつは入れ歯の善し悪しは、人生を変えてしまうほどのものなのです。入れ歯ひとつで生きる楽しみを捨ててしまうのでは、あまりにももったいなくありませんか?
 もう一度よく考えてみましょう。
 あなたの人生において、入れ歯は、はたして本当に高い買い物なのでしょうか。

なぜお口に合った入れ歯が必要なのか

 人間は80歳ともなると半数の人が総入れ歯になると言われています。
 もっと若い方でも、事故や病気で歯が抜けてしまうことがあります。このとき、「歯が入っていれば、どんな入れ歯でも構わない」という方もいらっしゃるでしょう。でも、足に合った歩きやすい靴でなければ長時間歩くのが難しいのと同じように、お口に合っていない入れ歯では、日常生活を快適に過ごすことはできません。それどころか、ともすれば病気や事故の原因にもなってしまうのです。

よく噛めないと全身の栄養状態が悪化します

 入れ歯が合っていないと、お口は消化器官としての役割を果たせず、胃への負担がかかります。これにより栄養の吸収がうまくいかず、「吸収不良症候群」になってしまうこともあります。
 お口に合わない入れ歯では食事をおいしく味わえず、食事が楽しくなくなったり、食事に苦痛を感じて食欲不振に陥ってしまうばかりか、食べられるものにも制限されます。栄養の偏りから感染症などの病気にかかる可能性も高まります。

飲み込むときにも入れ歯が関係している

 ものを飲み込むときにも入れ歯が大きく関わってきます。噛む回数が少なかったりうまく噛めなかったりすると、唾液の量が少なくなり、食べ物や飲み物が肺に送られてしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなるのです。お口に合っていない入れ歯だと、舌の動きが制限されてしまうことも誤嚥の原因になります。

きちんと噛むことが脳に刺激を与える

 食べ物をお口に入れたとき、人間の脳はその硬さや舌触り、匂いや味などたくさんの情報を瞬時に処理して、どのように噛むか判断します。また、噛むこと自体が刺激となって、歯ぐきを通して脳に伝わります。つまり、ものを食べるという行動をとっているとき、脳はものすごく活性化しているのです。東北大学が行った研究によると、健康な人では平均14.9本の歯が残っていたのに対して、認知症の疑いのある人は9.4本でした。歯の数、つまり噛むという行動は脳に大きな影響を与えるのです。

衰えた記憶力が入れ歯で復活する!?

 神奈川歯科大学歯学部のマウスを使った実験によって、しっかり噛めることと記憶力が関係あることがわかりました。人間でも同じように、「入れ歯を作り直したら、もの覚えがよくなった」「なにをするにも面倒だったのに、やる気が出てきた」といった報告が多くなされています。

入れ歯の役割は噛むだけではない

 お口に合わない入れ歯によってはっきりと発音できなくなったり、何度も聞き返されることが続くと、次第に話すのが面倒になり、人付き合いも上手くいかなくなってしまいます。また、力をいれたりバランスをとったりするときにも、しっかり噛みしめられるかどうかが重要なポイントです。コミュニケーションをとるのが面倒になり、転びやすいとなったら、外に出かけるのが億劫になってしまう人も多いことでしょう。ずっと家の中にこもってしまえば脳への刺激も少なくなり、認知症のリスクもさらに高まります。

抜けた歯を放置すると健康な歯も悪くなる

ぴったりと合った入れ歯を作ることは、残った歯を守るためにも重要です。歯は隙間が空いてしまうと互いを支え合うことができなくなり、残った歯に余分な負担がかかります。歯が抜けた状態で放置すると、1本、また1本とダメになり、隙間がどんどん大きくなってしまいます。
 さらに、一部の歯が抜けたままになっていると、無意識のうちにほかの部分を使ってものを噛むために一部の筋肉に負担が偏り、肩こりや頭痛の原因になります。

良い入れ歯には、人生にかかる総医療費を抑える効果が

 歯が健康な人ほど、一生涯にかかる総医療費が少なくなるというデータがあります。48歳までは歯科の定期健診費用などで医療費が平均より増えるものの、その後は医療費が抑えられるため、歯科の費用を含めても「生涯医療費」は平均を下回るというものです。
 厚生労働省と日本歯科医師会が推進する「8020運動」(80歳になったとき、20本以上の歯を保っていよう)において、8020達成者と非達成者を比較すると、達成者は、医科を含めた全体の医療費が非達成者よりも323,200円低くなっています。すなわち、お口の健康を保つことは、全身疾患の発症を予防し、結果として、全体の医療費は大幅に削減できると言えるのです。

お口を健康にして充実した人生を

 これから入れ歯治療を始めようとしている方も、まったく悲観することはありません。
「費用がかかるから」「時間がとれないから」「面倒だから」といった理由で、合わない入れ歯を放置したり、入れ歯治療に二の足を踏んだりすることは、いわば、人生を捨てているのと同じです。
 どうか自分を大切にして、お口の健康を守ってみてください。
 今からでは遅すぎるということは、決してないのです。

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